REALDESIGN APARTを
創りあげた男たち
最先端の木造アパートは、
想像より遙かに進化している。
辻󠄀辻)大都市の駅近の立地を狙って木造アパートを建築する大都市型のアパート経営がもてはやされるようになって、既に30年以上が経ちます。
当時から、ずっと木造アパートの変遷を見続けてきましたが、ここ10年で木造アパートに起こった技術革新というのは、目を見張る物がありますよね。
本田)確かにそうですね。木造アパートの機能性を向上するための技術や建材などは色々と出てきていて、最先端の木造アパートは、皆さんがイメージされている以上に進化していると思います。一昔前だとRC造のマンションと比べると、防音性能だったり断熱性能だったり、明らかに見劣りする部分がありました。でも当時は、誰もが構造上そういうものだと思っていましたし、それでも入居者が決まっていました。
ただ、近年は、大都市で駅近の単身者向け物件は飽和状態になっていて、そうもいかなくなってきている。だったら、最近建築されている木造アパートは、軒並みこうした弱点を克服しているのかといえば、残念ながらそうした物件のほうが少ない。地価が高すぎるために、せっかく新しい技術や素材が出てきてもコスト面の問題で、それらをどんどん導入するわけにもいかないようです。
辻󠄀辻)大都市型アパート経営というのは、とにもかくにも「駅近」の用地を取得することに重きが置かれています。
大都市の駅近という立地は、もう何年も色々なアパートメーカー、マンションメーカーが用地取得を巡って競合する状態が続いていて、土地取得に莫大なコストがかかるようになってきている。アパートメーカーも建物に関しては、できるだけコストを抑えたいのが本音で、そうした方法でしか物件の利回りを確保できない状況になっているのでしょう。
河野)なるほど、そういう背景があるんだ。木造アパートに対して多くの方々が、なんとなく抱いている「騒音トラブルや音漏れがひどそう 」といったネガティブなイメージは、大都市で次々と量産されてきた木造アパートによるところが大きいのかもしれませんね。
本田)しかも、大都市の駅近の用地となると、建物に対してギリギリの面積を確保するのがやっとの状態。そうなると、建ぺい率や容積率の制限からどのアパートも同じような間取り、仕様の物件にならざるを得ない。こうなると、安定的なアパート経営はますます困難になってくると思います。
辻󠄀辻)確かに。供給過多の状態になってくると、空室リスクがあがるし、家賃の価格維持も難しくなってきます。
同じような立地に、同じような賃貸物件がたくさんあるわけですから、物件を探す側は、少しでも新しい物件を少しでも安い家賃でという流れになってしまいますよね。
河野)けれど、実際のところ、いま最先端の木造アパートというのは、きちんとコストをかけて建築すれば、すごく良い物ができるようになっていますよね。新しい技術やノウハウ・設備を惜しみなく導入した物件になると、もうRCマンションと機能性は変わらないところまで来ていると感じます。
木造でも騒音トラブルの心配がない、
静かで快適な住空間が魅力。
本田)もともと木造アパートには、壁や床、排水管など、騒音リスクとなりやすい部分があるのですが、それぞれに使用されるパーツにおいて、防音性能が飛躍的に向上しています。
例えば、壁一つをとってみてもREALDESIGN APARTの場合、隣室と接することとなる界壁には、 50ミリ以上のグラスウールを遮音シートで挟み、さらに12.5ミリの石膏ボードを内と外に2枚ずつ計4枚も重ねた構造となっています。同じように、床や排水管にも、それぞれ遮音・吸音性能に優れた素材や技術を組み合わせて採り入れています。これだけしっかりした対策をとれば、隣接する部屋同士の生活音の問題は、ほとんど気にならないレベルまで抑えられます。
辻󠄀辻)特にREALDESIGN APARTは、防音性能の高いペアガラスも入っていますから、隣室からの生活音だけでなく、窓を閉めると自動車や電車などの外から入ってくる騒音もシャットアウトされ、本当に静かです。木造アパートとはいえ、入居希望者には遮音性が高い物件としてお薦めできます。
河野)防音面でいうと、各住戸の間取りのプランニングも重要なポイントです。
REALDESIGN APARTの図面を見ていただくと分かると思うのですが、どの部屋も隣室と接する壁の面積が最小限に抑えられています。この辺りの細やかな配慮は、設計担当の技量が問われる部分だと思うのですが、毎回苦労してるんじゃないですか?
本田)本当に、その通り(笑)。界壁面積を極力抑えた間取りにすると同時に、その界壁部分には、浴室や洗面、収納などお互いの生活音が気になりにくい部分がくる配置とします。
アパート用地は、面積や形状、間口の位置関係等がそれぞれ違ってくるので、用地に合わせた最適なプランニングが必要になってきます。加えて、 REALDESIGN APARTは、棟内の全住戸が角部屋で、なおかつ間取も各住戸ごとに異なるように設定しています。これがなかなか難しくて、いつも頭を悩ませるところです。
辻󠄀辻)角部屋は、騒音トラブルが少ないというだけでなく、窓が複数の方向にあって採光や風通しも良いので、やっぱり人気がある。
角部屋を希望して部屋探しをするという人も多いので、全室角部屋とするプランニングは、入居率アップや家賃価格の維持にも直結してきますよね。
河野)スキップフロアの構造も、面白いだけでなく、ワークスペースだったり、趣味のスペースだったり、実際に入居者が色々な使い方ができるよう設計が練られているところが素晴らしいよね。一昔前の木造アパートのロフトとは全く使い勝手が違う。
本田)そうですね。スキップフロアを上手く効果的に採り入れた間取りというのは、木造アパートの進化の中で見ても、大きく前進した部分だと思います。元々、木造アパートはRC造のマンションなどと比べると、設計の自由度が高い。少しずつ新しいアイデアが盛り込まれ、使い勝手や機能性は飛躍的に向上してきました。フロアの高低差を活かしたスペースの有効活用もそうですが、実際の面積よりも広がりを感じられるようになっているところも人気の理由ですね。
次は:REALDESIGN APARTのデザインは、これまでのアパートと、どう違う?
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PROFILE
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株式会社ファンド.プロ
代表取締役社長
アパート経営コンサルタント
辻󠄀辻 正隆株式会社ファンド.プロ代表
地方に点在する、土地価格の割に家賃相場が高いエリアに、居住性やデザイン性に優れた新築木造アパート「REALDESIGN APART」を展開する地方都市型アパート経営の提唱者。入居者、物件オーナー、アパート販売会社、三者にメリットがある新しいアパート経営のあり方を提案し続けている。 -
デザイナー
スタジオジラフ
代表 河野 雄紀建築および内部空間の設計デザイン・設計監理、またそれらに付随するグラフィック・ロゴデザイン、家具のデザイン、サイン計画などデザイン全般の業務を取り扱う。デザインのジャンルやモノ、場所にとらわれず、その背景や与条件等を踏まえたうえで全く新しく、少し切り口を変えた視点でよりよい環境づくりの提案を行う。
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建築士
本田建築設計事務所
代表 本田 浩之アパート建築のスペシャリストとして、大都市を中心に1,000 棟を超える設計に従事。
木造建築の課題として挙げられる防音・防犯対策に対して、設計段階から取り組むのが特徴。地域のニーズ、他社物件との差別化を考慮し、土地の形状にあった最適なプランに仕上げ、物件オーナーからも高い評価を得ている。